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第四章 前半 :思い込みで物事を決めていないか


特別連載企画
~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る ~
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こうだと思い込んでいることって・・・
私がまだ幼い頃は、どこの家庭も三世代が同居し、隣近所とのつながりも強かった。
当然ちょっとしたことでも隣近所の人達は口を挟み、
テレビを観る為に居間に誰もが上がりこんでくるから、共通の認識をもつ番組が映し出されていた。
自分と周りの人は同じ環境や時間を共有することが多く、価値観や考えも自然と似ていたのだ。

もちろんテレビで個人的に好きなものを観ること等叶わず、家族団欒、
いや近所集まりの象徴としてテレビは存在していた。
「巨人、大鵬、卵焼き」とはよく言ったもので、現代にはあまり考えられないが、
本当にどこの家庭でも同じものに関心を抱き、似たようなものを口にしていた。

さて、大相撲がにわかに脚光を浴びている。日本人横綱が誕生したこともあるが、
個性ある若い力士が出てきたことや、勘定合わせの一番が無くなってきたような気がする。
この私がまだ幼い頃、夕方は必ずNHK 1チャンネルをつけて、大相撲を観ていたものだ。
ちなみに、結びの一番で行事の木村庄之助が「この一番にて本日 打ち止め」といい、
これが千秋楽だと「この一番にて千秋楽」という。
ところが、幼い私には、聞き取ることができないため、
この最後の「打ち止め」という言葉を「一同ね」としばらく記憶していた。
当時は「キングコング対ゴジラ」という映画だって、コング=サルということがわからず、
ゴリラとゴジラのイントネーションが近いからキングコングをゴジラと思っていたほどだ。
20代前半のころ、向田邦子さんが描いたエッセイ集「眠る盃」と「夜中の薔薇」が刊行されたときは、
思わず同じ“思い込み”の現象だと笑った。「眠る盃」は、
「荒城の月」の一節“めぐる盃”を“眠る盃”と覚えていたという向田さんの話。
「夜中の薔薇」はシューベルトの「野ばら」の“童は見たり野中の薔薇”を
“夜中の薔薇”と歌っていた友人の話、からそれぞれ名付けられている話だ。
思い込みとは至る所で起こっているのだと分かった。
そういえば、ホテルでフロント業務をしていた時、呼び出しを依頼されたことが何度もあった。
男の声で館内呼び出しはせず、女性スタッフにお願いするのが常だ。
女性スタッフが不在の時はオペレーターに依頼するが、そこで思わず笑ってしまうミスをしたことがある。
カウンターで館内の呼び出しを依頼しようとした。
「お名前は?」
「Mr.Wall,壁のウォールだよ」
女性スタッフがいないので、電話でオペレーターに依頼をした。
「呼び出しお願いします。お名前はMr Wall 壁のWallね」親切に言ったつもりだった。
そして、流れてきた呼び出しは「Mr カベノウォール」。

何より、おかしかったのは依頼した本人である私が全然気が付かなかったことだ。
自分が依頼したものが間違って呼び出されたとは思いもよらず、
正しく呼び出されるに違いないと思い込んでいたのだ。
このように、何か依頼するときに観点がズレるとこんなことになる。
どうやら人は誰でもこういうものだと想定して、結論に結び付けるところがあるようだ。
知識、意識を白紙にしてもらうよう説明しなきゃいけない。
宴会予約時代も「勘違い」「思い込み」でミスをしたことは多かった。
ブライダルについては当人たちの思い入れも強いから、丁寧に対応しなければいけない。
特に手配事項はそこに記されたものが、すべて手配される。
うっかり間違えて書き込めば、その通りに間違えて発注されるのだ、
日を経て、それを見たとき「あれ、おかしいな」と思えばいい。
しかしながら多くは見過ごしてしまう。メモ書きのようなものなら疑いも抱くだろう。
しかし、しっかり記されていれば、間違いないものと認識する。
私自身もこんな出来事があった。
お客様はケーキを伝統ある「クロカンブッシュ」に指定されていたのだが、
なぜか私は「イチゴアーチ型」に〇をつけていたのだ。
自分の意識の中でクロカンブッシュやイチゴのフラットなものは結構馴染みがあったが、
イチゴの背を高くしたものはあまり注文したことがなかった。
それで、妙に気になって〇を付けてしまったのかもしれない。
幸い始まる前に指摘があり、ペストリーのコックが急いで作りケーキカットに間に合うようにしてくれた。
もちろん終了後にどやされたことは言うまでもない。
この時、私は「心ここにあらず」という感じで、確認もせずに思い込みで決めていたような気がする。
つまり打ち合わせの時にメモもとらず、打ち合わせ終了後にまとめて記入。その時に思い込みで記入したのだろう。

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