第四章 後半 :思い込みで物事を決めていないか


特別連載企画

~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る ~

●大丈夫と思い込んでいることが危ない
前半では、どこにでもありうる「~に違いない」という“思い込み”によるハプニングを紹介したが、
自分だけでなく、今の会社に移ってから、同僚がこんな思い違いをした。

お客様からの問い合わせに1週間間違えて会場を押さえた。
ただし問合せ票にはその経緯は一切記されておらず、ただ押さえた日程のみ、
その会場、時間が当たり前のように記入されていた。
1週間たちお客様から連絡が入る。「実施する」という決定の知らせ。
電話をとったのが別のスタッフだったが、どうも嚙みあわない様子だ。
ただ、非常に勘の鋭い人間なので、お客様のいうことをしっかり聞き
「確認させていただき、改めて連絡いたします。」と結んだ。
内容は、「お客様が言っている日程と押さえられている日があわない。」
担当者は面倒くさそうに「向こうが日にちを間違えているんだろうな。」
「でも、しっかりとした言い方でしたよ。いずれにしても、この後申込書が届いたら、私連絡します。」
「いいよ、自分の方から連絡する」
「ところで、お客様の言ってる日程っていつなの?」
その日程で会場の空きはなかった。
「申込書が届いたら、連絡しますので、大丈夫です。」その自信はどこからくるんだろう。

会場を押さえたときの、経緯、やりとりが見えてこないし、本人も自分で処理したいのだろう。
委ねるしかない。それにしても押さえた日程を確認書で伝えていないのか?
まあ、この施設では私より古いので、あまり指摘しないけれど・・・
申込書が届く。お客様に連絡をした担当者の表情が硬くなっている。
電話している担当者の受け答えを聞いていると、予想していた通り非はこちらにあるようだ。
「会議だよね?社内、それともクライアントとの・・・?」
「社内ですけど、全国から役員の方が来るようです。」
「それなら、新宿でやらなきゃいけない必然性はないわけだ。
えーと、取り急ぎ、こっちの会場、仮予約のこの物件、やるかどうか確認して・・・
これはほかの施設に振れないから、決定ならやっぱりこちらに他施設でできないか、当たるしかないね。」
まずは対応策を考えねばならない。
たしかに、ホテルニューオータニ時代の上司で大学の先輩でもあり、
営業を中心に勤務していた人間がいたが、この人もやはり2,500㎡の会場を異なる日程で押さえてしまい、
それに気が付いたのが3,4日前ということがあった。しかしながら運を呼び込む人だったのだろう。
その日会場は空いていた。よせばいいのに、こういう緊張感に包まれていると、この話をしてしまう。
 それにしてもこうした思い込みというのは意外と多い。
意識の中でこうだと思っていること、希望していることなど。
そういったことに少しでも関わると、自分の都合のいいように考えてしまう。
間違いを間違いと認識せず、勘違いしたまま見過ごしてしまう。
常なることだが、こうしたことが発覚すると、「どうしてこういうことになるんだ!」と訝しげに口にし、
「二度とこのようなことがないよう徹底するように」と注意を促される。当然だ。
しかし一方、スタート時点でボタンの掛け違いをしているのだから、注意の喚起も的外れになることもある。

注意することは当たり前のことだが、打ち合わせのやり取りをメモすること、
情報を自分だけのものにとどめないことが重要であり、会場の押さえなどした場合、
必ずクライアントのお客様に確認書を送る。
そして何よりも、自分のやることに間違いはない、という過信をもたないことだ。
ホテルニューオータニ時代によく言われたことがある。
打ち合わせをしておいて、「前年通り」で済ませるような物件はない、と。
主催者側の窓口は前回と同じ人かもしれない。
しかし、スタッフには初めての方もいるだろうし、お客様の多くは初めてかもしれない。
利用するお客様には、常に初めて利用するお客様というつもりで丁寧に接しなければならない。
前回、利用した時、受付の状況はどうだったか、手配書には何も書いていないのに、
当日清算書には追加事項があったりしないか?終了時にタクシー利用者で混雑しなかったか?
「前年通りでお願いするよ」こう言われたら、少なくとも、前年の状況を確認することが必要だろう。
前年通りと記入して、それまでの内容を見直さず楽観視してしまうのは恐ろしい。
それにしても子供のころの記憶って根強く心に焼き付いているものだ。
思いの積み重ねが思考回路を形成している。
そして、こういうものだという思い込みも同じく積み重ねて思考回路を形成しているのであろう。。。。

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