第五章 前半 :苦情、指摘事項には速やかに連絡を


特別連載企画

~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る ~

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●異動とともに苦情処理か
長年ゲストサービスをしていると、このクレーム、このコメントには速やかに対応しなきゃいけないな、
さもないと後々大きな苦情になる。と直感が働くときがある。
一方、このような内容だからとうかつに連絡すると、
「あなた、名前は?」と聞かれた挙句、さんざん苦言をまくしたてられることもある。
その上、後処理まで背負い、踏んだり蹴ったり・・・
いずれにしても、こうしたものに日頃から目を通していると、その後というものがなんとなく読めることがある。
平成16年3月、4年間勤務したゲストサービス課からホスピタリティリレーションズに異動となり、引継ぎをした。
このような場合、業務内容はだいたい自分が興味を持って取り組んでいるものが中心になるもので、
ある課長については、コンシェルジェ的業務の資料、ビジネスセンターのことが主だったようだ。
スタッフの話題も必然的にそちらで「アシスタントマネージャーの皆さんは各々やっているから・・・」で済まされ、
「苦情多いから、結構出かけられました?」
「え、めったに行かない。一度、当日急に言われて・・・困っちゃうよね」と言っていた。
困っちゃうって、山本リンダじゃあるまいし・・・この仕事だから急に外出することは覚悟していたけれど、ホッとした。
そんなにお詫びに行くもんじゃないんだ!と。

この時、未解決になっている苦情が1件あることを耳にしていた。
発生してからすでに一ヵ月あまりだが、未だに先方からは何度も電話が入っているという。
先方は、レストラン利用の女性客。ウェイターに羽田空港までの所要時間を尋ねる。
20∼25分との返答。その通りにホテルを出発したら、乗るべきフライトに間に合わず。
さっそく当ホテル副支配人席に連絡。
電話に出たマネージャーは小馬鹿にしたような口調の挙句「ありえない」と言った。その日都内のホテルに宿泊。
翌日、その女性客より再度入電。

課長は失礼な対応があったことをお詫び申し上げ、状況を確認したうえで改めて連絡すると伝える。
相手からは具体的な申し出はないが、以下のような話だった。

・空港で取り乱し、衣装を汚した
・体調を崩したうえ、誤った案内のおかげで飛行機に乗りそびれた
こうした状況よりやむなく東京都内のホテルに宿泊した。

以上が、当時の内容である。課長は該当するスタッフよりヒアリング。その結果
「先方は完全なるクレーマーであり、要求には応えられない」と結論付ける。

しかし、スタッフに確認していたからといえ、時間をかなり費やしている。
1週間たっても、先方に連絡をしていなかった。
先方はこの件について、軽んじられていると思ったろう。
結局、先方から連絡が入って、ようやく結論を伝えることになる。

こういった件だから、いい加減なことは言えない。この課長のことだから情報を正確に伝えようと意図したのだろう。
いずれにしても先方は威嚇するような暴言を繰り返すことになる。
この後のやり取りは録音されていたが、聞くに耐えない。

「これはもう異常だよ」 マネージャーは口々に言う。
たしかにこの会話だけ耳にすれば、そう思えなくもない。

「このあと、どうするんですか?」

「対応するつもりはない。手紙出して終わりにする。書く?」

「やだ」

先方はすでに社長宛に手紙を書いていた。異動の翌日、総支配人に呼ばれる。

「これ、社長宛に届いたから対応して・・・」(嫌な展開)
宿泊部では、先方の希望には沿いかねるというのが結論だ。この趣旨に沿って手紙を作成する。

「どうでしょうか?」

「あのさ、ことが起きてから1か月以上もいい加減な対応してきたわけだ。こちらから連絡して、まずお詫びして・・・」
(正論だ、でもなぜ自分に)

「わかりました。では、総支配人室の椿という言い方をしてもいいですね。それで・・・
お客様とは調整を図り、妥協点を見出すということでいいですか?」

「いいよ」

数度連絡をする。先方は、ホテルとして誠意ある対応(お詫び)を示してほしい、
また、今回まで対応してきた課長を含めたスタッフに厳しく注意すること。

以上2点を希望事項としておっしゃてきた。
なんでもないようだが、なんか厳しい申し出のような気もする。総支配人に説明。

「先方のところにお詫びに行って、決着つけてきて」と総支配人の指示。行先 岡山市内。
当初、前課長と同行する予定だったが、最終的に先方が拒否。
理由、よからぬ後ろ盾がある。

私より2年先輩のフロント統括支配人(女性)から
「ひとりで大丈夫?相手はあんまり岡山のいいところに住んでいないから、変なところで会わないほうがいいよ」
と言われる。

もともと、今回の件に関して最初からの流れを知ってる人間が担当すべきと認識していて、
何かと気を使ってくれる。そう、行く前にどこの印刷屋で作ったのか

 総支配人室  椿 益紀

という名刺まで用意してくれた。きれいな名刺じゃないが・・・

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