第八章 後半 :日韓友好の懸け橋


第八章 後半 :日韓友好の懸け橋
特別連載企画

~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る ~


●そして事故の顛末は
言われた通りに説明しても、相手は納得しない。
何しろペ・ヨンジュン氏のファンなのだから致し方ない。
ペ・ヨンジュン氏はこれだけ多くの方々が自分を待っているのに、姿も見せないなんてできない。
一目お会いしたい。という思いから駐車場に姿を見せた。それがこんな事故につながった。
あの優しい口調でけがを負われた方を気遣い、責任は私にあると語るのだからかなわない。

「ホテルが謝罪しろ」「ヨン様にあんなことさせるなんてひどい」

そんな思いのはけ口がこのニューオータニへの電話となっている。
おもしろい電話が数件あった。女性はシビアだが、男性からのはちとおかしい。
「ぺ・ヨンジュン氏は日韓友好の橋渡しをしている。
それが、こんなことになって、どう思っているんだ。どう責任をとるつもりだ。」(黙って聞いていた)
「妻がどうしても行きたいということでいかせた。それがこんなことになって・・・」

「お怪我されたんですか?」
「いや 」(ガクツ)

「せっかく行かせたのに・・・この無駄になった時間をどうしてくれるんだ」
「そもそもこんな騒ぎになることがおかしい。ホテルもいい迷惑だろう」(感激)

17時ごろ、各局で報道番組が流れていた時が最悪だった。
救急車で搬送されるファンの方々。この件で謝罪する貴公子ペ・ヨンジュン氏。
そんな映像がどこのチャンネルでも流れている。まさに一大社会問題だった。
そんな騒ぎも20時前には少し治まり、総支配人から主だったメンバーに召集がかかった。
私が着いたとき、宴会予約の課長が翌日の披露宴の説明をしていた。
「・・・・もし今日のように駐車場にあれだけ人がいるのだったら、
披露宴は日延べせざるを得ない、とおっしゃっていました」(何のことだ・・・)
私からはその後病院で治療を受けた方2名。一人は肋骨にヒビ、もう一名は打撲。
いずれも病院でかかった治療費はホテル側に領収書を送っていただくよう伝えた、との報告のみだ。
もちろん治療費は後日まとめて主催者側に送る。
ペ・ヨンジュン氏はホテルに迷惑をかけたとキャピタルホテルに宿泊を変更。
一行も準備が整い次第ホテルを後にした。この騒動も3日もすると騒ぎは収まった。
事故発生からこの件に関する苦情、問い合わせは260件、
内アシスタントマネージャーにつないだのは110件程度だった。
コメントの内容は、ホテルに責任がある。謝罪せよ。ホテルも説明責任がある。記者会見しろ。
といったものが一番多く、次いでペ・ヨンジュン氏がかわいそうといったコメントが続く。
その後怪我をしたという申し出はなかったが、
一番の重症はご自宅に帰られてから治療を受けたお客様で、数度の通院をした。
救急車で搬送されたお客様に重度の怪我人なし。
さて、事故当日からどうも釈然としなかった。
『悪いのは誰だ?』を決めることに執心し、
私たちはサービスを生業としていることを軽んじていなかったか?
たしかにファンの方々はホテルに収益をもたらすわけではない。
それでも潜在顧客になる可能性は十分にある。
そもそも「冬のソナタ」のファン層ってどのような方々か認識していたか?
さらに、マスコミへの対応は十分だったのか?
たしかに広報担当のスタッフがマイクを向けられたようだが、
ホテルの対応しだいで取り上げられ方は大きく変わる。その例はいずれ。
事故当日、ミーティング後。宴会票を見ながら

「明日の披露宴、正田家って来るの?」
「お越しになる予定だよ、だから・・・」
 
 

コメントをどうぞ

Spam Protection by WP-SpamFree

▲ページの先頭へ戻る