第十二章 後半 :パワハラって


第十二章 後半 :パワハラって

  特別連載企画

~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る
 
気を付けることは

人間は誰もが自分のことを語りたがるものである。
確かに業務を遂行するために月間100時間も残業したのは誇りにすべきだろうし、
称賛されてしかるべきものだろう。
しかし、間違いなく時代は変遷し、それを正論とすることはない。
私は個人的に思うのだが、あの頃どこの企業にいるスタッフでも、仕事することを厭わなかった。
それは業務に対して前向きであったということもあるが、どこか楽しんでいる面もあったのかもしれない。
たとえば、ニューオータニで夜中に設営に立ち会っていた電通のスタッフは、
つらいと思いつつ、ニューオータニのスタッフと談笑し、気を紛らわせてはいた。
いわば同じ方向を見ているという意識もあったような気がするのだ。
今日そんな意識はない。夜中に搬入、設営をするなんて、苦痛以外のなにものでもない。
もっと仕事を楽しもうといっても、おもしろくもないものに楽しめるかということだろう。
そんな会社に対する意識、仕事に対する想いも異なるスタッフが同じ空間で業務に就いている。

当社でもパワハラとして、問題が表面化したのが4件、問題が認知される前に精神的に疲弊、退職1件、
公になったわけではないが、職場環境に合わず退職というのが数件あった。
こういう問題が発生した際の対応について個人的な意見を以下に記す。
職場の長が職場をどのように考え、まとめるかにかかるものであるが、
職場の長はいつでもスタッフの申し出に対応できるようにすること。
また、教育、指導をするのはブレがないよう、原則一人であるが二人に問題、諍いが生じることも想定される。
その際、スタッフに逃げ道が無くなることのないよう他のスタッフのヘルプできる体制をつくる。
職場でパワハラと思われるような事象が起きると、スタッフが出社拒否になるのが一般的である。
この際、休んでいる人間は周囲に迷惑をかけているという負い目を持っている。
先日退職したスタッフも「会いたくない」というのが本音だったと聞く。
ようやく会うことになった会社の同僚にたいしても
「プライベートな友人としてなら」と但し書きを添えてきたという。
一般的にこのような場合、職場の長が面談することが多い。
そうすると、私もそうだったが、「どう調子は?」で始まり、
原因はなんで、いつ頃まで休むという話になる。
これはオペレーションをつかさどる以上、当然のことである。
二度とこのようなことが発生しないよう、注意することを認識する。
だが、対象者は現在、会社を休んでいる状況だ。
オペレーションの取りまとめと対象者への接することとは別のこととして、対応しなければならない。

この場合、「つらかったんだろうね?」「きつかったんだね」と言葉をかけることから始める。
会話とは、その時のTPOに沿って進めていくものである。
これが職場で申し出があったものならまだしも、このような状況では、対象者の気持ちに寄り添うのが肝要だ。
つまり、言いたいこと、叫びたいこと、やりたいことを引き出すばかりなのだ。
「私はこう思う」「こんなふうに注意しておく」と対処法を伝えるより、
被害にあったスタッフの言葉に相槌を打つことが必要である。
ここで思いのたけを吐き出せればいい、しかし、もう医療機関にかかっているのであれば、委ねるしかない。
今後の予定についてはそのあと考えればいいことだ。

私はパワハラ、セクハラなどの問題に関してどちらがどうということを言えない。
ただ、今後おそらく、年長者に対する「いじめ」、
いや「排除」「無視」といった歪な対応が生じてくるだろうという予感は否めない。
 

コメントをどうぞ

Spam Protection by WP-SpamFree

▲ページの先頭へ戻る