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「言葉の階(きざはし)」第二章:フィギュアスケート


特別連載企画 第二回

~  「言葉の階(きざはし)」

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■フィギュアスケート
テレビのスイッチを入れたら、フィギュアスケートの競技が行われていた。
だがなんか変だ。音楽は流れているが、解説なり、実況の人の声が流れていない。
故障か?ボリュームを上げてみたが、音楽が流れているのだから、これが正常なのだろう。
番組がチャップリンの時代に遡って、トーキーになったわけでもあるまい。
と、「トリプルアクセル」「ダブルトーループ」いきなり解説者の声が流れてきた。
故障じゃなかった。さほど長い時間じゃないのだろうが、
途中から番組を観て、沈黙が続くと長い時間のような気がする。

それにしても、ジャンプの種類、技術の名称だけを言われても、一体何のことだかわかりゃしない。
冬のスポーツ観戦といえば、マラソンか駅伝を観ることが多い。
ただ走るだけの競技だから解説者の話は多い。
特に増田明美氏は朝の連続ドラマでナレーションを担当したように、口調がなめらかだ。
「長距離ランナー何でもご意見番」とでも呼べるようなその選手のエピソードを澱みなく話す。
芸能人の誰が好き、どんなスイーツが好きなどおよそレースに関係ない話を続ける。
そんな解説に慣れているから、フィギュアスケートの解説は専門用語を並べるばかりで素気ない。
 お客様相手の商売をしていると、いつからか説明の仕方、
お客様との会話が以前と変わってきていることを感じる。
以前はお客様の関心を惹くために、面白おかしく話を進める。
というより、理屈の話は苦手だから、ある種打ち合わせに楽しみを感じるようなものにする。
そんな意識がある。打ち合わせは、進行に従って確認を進めるばかり。
それだけでも誰もが全体像がぼんやりながら掴んでいる感じだった。

ところが最近は・・・やたら分業化している。
「進行」担当「映像」担当「受付」担当・・・。しかもその担当業務に関する知識は豊富だ。
聞かれることが一般的なものならいい。ところが専門的な言葉を並べてくるのが一般的だ。
パソコンの利用応用編的なものになると、全くお手上げだ。
「すみません」とか言いながら、逆に担当業務から離れたことに触れると、その知識の泉は枯れていく。
「それは私の担当ではありません」「〇〇さんに聞いてください」と返答される。
概ね自身のかかわることに深い知識をもつ相手を求めるが、それ以外は感心をもたない。
自身が担当する業務とそれ以外の職務と見事に境界線を引いている。
目まぐるしく変貌していくビジネス社会に、我々年配の人間はついていけない。
打ち合わせと言って「無駄」な話も交えていた時代は過ぎ去り、「簡潔」にモノを言う現代だ。
「今までの経験を生かして」なんて乞われるように雇用期間の延長を望まれる人もいるだろう。
だが、どんなことを会社は求めているのか確認しなければいけない。
そう、今日の打ち合せは、スポーツ解説のように「専門用語」を歯切れよく並べていくもの、
すなわち遊びのないものが基本となっている。

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