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第十三章 後半 :安全という商品

2018年2月28日 水曜日

第十三章 後半 :安全という商品
特別連載企画
~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る ~
●火災編
日本で初めて世界陸上競技大会開催されたのは1991年8月のことである。
メイン会場国立競技場。その近さゆえかどうかわからないが、
IOC会長など主だったメンバーはホテルニューオータニに宿泊した。ただし、選手は別ホテル。
9月1日に閉会式が行われ、その後当ホテルで、「フェアウェルパーティー」が行われた。
何しろ終了時間が翌日になる遅い時間の宴会である。
満室ではないとはいえ、駐車場は多くの車が収まっている。
そこに当時の総理大臣海部首相はじめ、政財界の重鎮が来るわけで、駐車場はかなりの混雑が予想される。
よって、社有車、テナント車両は庭園内・ガーデンバーベキュー近くに移動し、対応に努めた。
海部首相の挨拶が終了したのが日付も変わった頃。
同僚と「ようやく終わった」とばかり、顔を見合わせた。
会場のスタッフに挨拶をして、ハウスユースでとっている部屋に入る。
せめて乾杯ぐらいと同僚とグラスを傾けた。やはりこんなときはうまい。
と、しばらくすると、メインの駐車場に消防車が入ってきた。「なんだろう?」さほど時を隔てずさらに1台。
「やばいな」気づかぬふりをして寝ようかと思ったが、どうせこれじゃ眠れないと、防災センターに行く。
「火災」「場所は庭園」庭が燃えてんのか?野焼きでもやってんのか・・・
現場はすさまじいことになっていた。車両を移動したため消防車両が火点に近づけない。
火柱が上がる。「どこが燃えてんだ?」「もみじ、もうだめだ」
いつも冗談ばかり言っているドアマンのTの目が彷徨っている。
幸いというべきかこの時間に宴会があったので、ドア、ベルにスタッフがいて、車の移動を順次行っている。
「水は?」「中に近づけないから、この噴水から引いている」
同僚と館内に戻る。お客様が不安になって、ロビーにいるかと思ったが、さほど影響はなかった。
宴会場のフロアーに行く。「あれっ」マネジメントサービスのS部長がいた。
おそらくホテルマンとして当社では随一の方だろう。
「大喪の礼」など全社体制の事務局長、営業戦略の説明、判断にブレがない。
ただし、みんな飲みに行きたがらない。
「だって、飲んだら気合が入って、シコなんか踏むんだぜ。」そりゃ勘弁だ
「マスコミ対応ですか?」
「う~ん、そろそろ来るんじゃないかな」
「何名ぐらい?」
「30席あれば、いいかな」
外は収まっていた。幸い、もみじという店舗はすっかり焼けてしまったが、延焼せず。
宿泊されているお客様にも影響はなかった。原因、火の不始末。これはマスコミの恰好の餌食だ。
「世界陸上終了して、レストランに点灯・・・シャレにならないな」
もう一度火災現場の方に足を向け、静かになっているのを見て部屋に向かう。
「あとはいいんですかね?」
「いいでしょう、疲れているし、いても役に立たないし・・・ラ・フランスってとこかな」
「・・・」(洋梨)
翌日、新聞、テレビなどマスコミが大きく扱うことはなかった。
こんなとき、マスコミへの対応が遅れ、犯人捜し、
原因の追究など社内の調整に追われていると、大きく取り上げられ、
コメンテーターが「首相がお帰りになって気が緩んだのでしょうかね」とか
「木の多い処で一歩間違えれば大惨事になりかねない」と、言われかねない。マスコミは敏感だ。
この企業は起こるべくして事故がおきた。スタッフの動き、表情からすぐに察知する。
それにしても、あの短い時間でS部長はよく概要を理解し、口にすることができるものだ。
さて、このような災害はいつ発生するかわからない。
人為的なものではなく、たとえば電気の漏電などによっても、事故の可能性はある。
日頃から注意を怠らないことはもちろん、消防署、警察署と連絡は密にしなければならない。
展示会やディナーショーのような通常とは異なる宴会場の利用時、
すなわち不特定多数の方が来館される、会場内で会計処理が行われる(会計の端末が入る)、
スモークをたいたり、大きなジョーゼットを使用する、などのことが予想される場合、
非常口の表示、通路の確保など確認の上、会場図面、開催届けなどを消防署に提出する。
多くの車両が予想され、ホテルの駐車場ばかりでなく、周囲の道路に渋滞の影響を及ぼすことがある。
しかも、ホテルニューオータニは紀尾井町、麹町は千代田区、赤坂は港区、
四谷は新宿区と三区に囲まれた地域である。
警察が他の地域をカバーすることはない。つまり、ホテルはこのようなとき、
3地区の警察署に開催届けを提出しなければならない。
関係ない話だが、いくつか警備対象の要人が来る物件を担当すると、
所轄の刑事と顔見知りになることがある。いつも顔を合わせているうちに仲良くなり、
いろいろな話をするようにもなった。ロシアのゴルヴァチョフ大統領が来日した時である。
その刑事はいつも直前になると、私に最終確認をしてくる。対象車の駐車位置、会場までの動線。
「いやー助かるな、注意するのは自分のテリトリーの1メートルだけ・・・
そこを通り過ぎたら、もう関係ないもんね。上見てるよ」もちろん冗談だろうが、実情でもあったろう。
この刑事はなんでも私に聞きゃいいと思っていたのか、
名前を憶えているホテルスタッフが私だけだったのか、よく誘導中にも声をかけられた。
この時も大統領が宴会場に入る際、柱の右を通すか左を通すか、
当日の状況でロシア、日本のSP,、ホテルのグリーターで直前に決まったのだが、
よりによって移動中に私に聞いてきた。「どっち?」ロシアのSP厳しい顔、私、親指でサイン。
この刑事と2,3度飲みに行ったことがある。
体もでかいから飲みっぷりもいいし、声もでかい。ついでに態度もでかい。
「こんなふうにはしゃいで、警察の人に呼び留められたりしてね・・・
ああ、ここの所轄は麹町じゃないんだ、四谷警察ですね」
「自分のとこじゃ飲まないよ」
消防署、警察の方と仲良くするのは必要だが、ここまでする必要はない。

第十三章 前半 :安全という商品

2018年2月28日 水曜日

第十三章 前半 :安全という商品
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特別連載企画
~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る

●この商売は安全という信頼感から

ホテルが提供する商品とは、ご存知の通り
「宿泊」「レストランでの飲食」「宴会場でのパーティー、会合」が中心であるが、
それ以外にテナントでの買物、飲食、引き出物などの手配などもある。
安くはないこれらの商品を購入する理由の一つに安心感、安全性というものがある。
ホテルなら大丈夫、間違いないと信頼を寄せる何かがある。

たとえば、ホテルで披露宴を挙げるとき、一般的に衛生面はしっかりしていると認識される。
セイフティボックスもあるし、盗難などの心配も少ない、
それに保安関係のスタッフもいて、何かあっても対応してくれる。
目に見えないものだけど、このセキュリティー体制が整備されていることがホテルの特色であり、
裏をかえせばこれが備わってなければ、ホテルとしては評価されない。
スプリンクラーは備わっているか
防火扉の設備はあるか
非常口はしっかり目につくか
こんなことをホテルに泊まる時、確認してみるといい。
さて27年あまりホテルニューオータニに在籍したが、
この間私が覚えているだけで、3度食中毒が発生し、2度火災が起きた。

●食中毒編

その日はフロント業務の夜勤明けだった。会社の後輩の披露宴。
私は司会、と酔う要素は十分そろっていた。私はグラス2杯のビールで顔が赤くなる。
この程度で赤くなるのも恥ずかしいので、赤い顔はするけど、酒は強いんだとばかり、しっかり飲んでしまう。
そんなわけで、翌日、体調を崩した。幸い公休だったが、何度も下痢でトイレに足を運んだ。
「30代後半になると、体も弱くなるな」と実感する。
翌日、体調はあまり芳しくない。しかし、芳しくないのは会社そのものだった。
同僚から「椿さん、昨日大丈夫でした?」と尋ねられる。「大丈夫って?」
「食中毒の申し出が続いたようでさ。それが、彼の披露宴のお客さんもいたようで・・・」
「まだ原因もわからないんだろうけど、自分の会社で披露宴やって、食中毒って・・・まずは自分の検査をしなきゃ」
検査結果・・・腸炎ビブリオ。食中毒。原因はオードブルのホタテ。
同様の料理が3会場に供され、列席者は250名に及ぶ。ホテルは急遽事務局を作り、対応策を講じる。対応策は以下の通り。
対象は該当する披露宴出席者全員
ホテルは被害者全員に、お見舞いとしてお見舞金と粗品をご自宅に届ける
お見舞金はその症状(医療機関への通院回数など)より3段階とする
お見舞の対象者は100名あまり
発生場所のタワーオードブルの調理場は1週間営業停止。
どうやら指に怪我をしているスタッフが調理したようだ。
これくらいならと思いがちだが、指先に怪我をしている時は人の料理を作るのはご法度だ。
このニュースは保健所に経過報告を出した段階で、公のものとなり、新聞、テレビのニュースで流れる。
事務局は、被害に遭った両家に結果報告に赴く。
ただし、新郎新婦は新婚旅行中。両親に検査の結果を伝え、お詫び。
さて、私はといえば1週間もしないうちに菌は体内からなくなったが、
気分的なものか体調崩した後遺症か、腸は弱っていった。
「椿、大丈夫?」「はい、もうすっかり」といいながら元気はない。にも拘わらず、お見舞要員となっている。
行先、小田急沿線。「結構遠くて、のんびりいけるな」とほくそ笑んでいたが、
実際に行くと、駅から20分、緊張感もあったろう、お腹がゴロゴロなりだした。
お見舞に伺いながら思わず「私も食中毒になりました」と言いそうになった。
この時もそうだが、同じものを食しても食中毒になる人、ならない人がいる。
その時の健康状態やその人の体質にもよる。
このような披露宴やパーティーのように食した人が多ければ複数の方が災禍にかかるので、おおよそ検討もつく。
しかしレストランで食事を摂ったお客様の内一人だけ「食中毒のような症状が出た」と申し出があったら、どうだろう?
うちの商品に限ってそんなことはない、とまず思うのではないだろうか?
私がアシスタントマネージャーの職に就いていた時、一度食中毒があった。
ステーキハウス、当日のディナー利用3組6名。そのうちの一組、女性2名の利用。
翌日帰りの飛行機内で症状出る。家についてから同行した友人に連絡すると、同じ症状とのこと。
3日間苦しむ。ようやく動けるようになり、病院で検査。「食中毒」。その状況を記してきた。
発症の前日、当日とも他所での飲食なし。なお、このお客様以外からの連絡はなし。
安全管理室衛生担当に連絡。ステーキハウスのキッチン、サラダバーのコーナーなど調査。
食中毒はレストランのサラダバーに多数サルモネラ菌を採取する。
「卵か肉に多数菌が付着。器にもいましたよ。
おそらくサラダを食べていたら、みなさん悪くなっているんじゃないかな」
「これはもう届け、出されたんですよね」
「ええ」
「他のお客様にも確認した方がいいですよね?」
「その方が親切でしょうね」
他のお客様には体調を崩された方はいなかった。というか、無頓着であったのかもしれない。
食中毒はその病原菌を口にした人が100%体調を崩すわけではない。
しかし、大丈夫と高を括ると、災禍は訪れる可能性は高い。
日常よりお客様の飲食にかかわるものを扱っているところは、清潔にし、利用しやすいよう整頓しておくことが大切だ。
また、体調が悪いという申し出があったら、医療機関に診てもらうよう薦めることが必要だ。
勢いよく「お宅で食べたモンで当たった」とか「食中毒だ」と迫られると、
お詫びを言いそうになるが、原因がわかるまで、むやみに謝らないこと。
披露宴に出られた方でゴネたお客様はいなかった。
披露宴主催者、すなわちご両家であるが、最終的には割引をしたと聞く。
ただし割引はさほど大きいものではなかったと記憶している。

第十二章 後半 :パワハラって

2018年2月5日 月曜日

第十二章 後半 :パワハラって

  特別連載企画

~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る
 
気を付けることは

人間は誰もが自分のことを語りたがるものである。
確かに業務を遂行するために月間100時間も残業したのは誇りにすべきだろうし、
称賛されてしかるべきものだろう。
しかし、間違いなく時代は変遷し、それを正論とすることはない。
私は個人的に思うのだが、あの頃どこの企業にいるスタッフでも、仕事することを厭わなかった。
それは業務に対して前向きであったということもあるが、どこか楽しんでいる面もあったのかもしれない。
たとえば、ニューオータニで夜中に設営に立ち会っていた電通のスタッフは、
つらいと思いつつ、ニューオータニのスタッフと談笑し、気を紛らわせてはいた。
いわば同じ方向を見ているという意識もあったような気がするのだ。
今日そんな意識はない。夜中に搬入、設営をするなんて、苦痛以外のなにものでもない。
もっと仕事を楽しもうといっても、おもしろくもないものに楽しめるかということだろう。
そんな会社に対する意識、仕事に対する想いも異なるスタッフが同じ空間で業務に就いている。

当社でもパワハラとして、問題が表面化したのが4件、問題が認知される前に精神的に疲弊、退職1件、
公になったわけではないが、職場環境に合わず退職というのが数件あった。
こういう問題が発生した際の対応について個人的な意見を以下に記す。
職場の長が職場をどのように考え、まとめるかにかかるものであるが、
職場の長はいつでもスタッフの申し出に対応できるようにすること。
また、教育、指導をするのはブレがないよう、原則一人であるが二人に問題、諍いが生じることも想定される。
その際、スタッフに逃げ道が無くなることのないよう他のスタッフのヘルプできる体制をつくる。
職場でパワハラと思われるような事象が起きると、スタッフが出社拒否になるのが一般的である。
この際、休んでいる人間は周囲に迷惑をかけているという負い目を持っている。
先日退職したスタッフも「会いたくない」というのが本音だったと聞く。
ようやく会うことになった会社の同僚にたいしても
「プライベートな友人としてなら」と但し書きを添えてきたという。
一般的にこのような場合、職場の長が面談することが多い。
そうすると、私もそうだったが、「どう調子は?」で始まり、
原因はなんで、いつ頃まで休むという話になる。
これはオペレーションをつかさどる以上、当然のことである。
二度とこのようなことが発生しないよう、注意することを認識する。
だが、対象者は現在、会社を休んでいる状況だ。
オペレーションの取りまとめと対象者への接することとは別のこととして、対応しなければならない。

この場合、「つらかったんだろうね?」「きつかったんだね」と言葉をかけることから始める。
会話とは、その時のTPOに沿って進めていくものである。
これが職場で申し出があったものならまだしも、このような状況では、対象者の気持ちに寄り添うのが肝要だ。
つまり、言いたいこと、叫びたいこと、やりたいことを引き出すばかりなのだ。
「私はこう思う」「こんなふうに注意しておく」と対処法を伝えるより、
被害にあったスタッフの言葉に相槌を打つことが必要である。
ここで思いのたけを吐き出せればいい、しかし、もう医療機関にかかっているのであれば、委ねるしかない。
今後の予定についてはそのあと考えればいいことだ。

私はパワハラ、セクハラなどの問題に関してどちらがどうということを言えない。
ただ、今後おそらく、年長者に対する「いじめ」、
いや「排除」「無視」といった歪な対応が生じてくるだろうという予感は否めない。
 

第十二章 前半 :パワハラって

2018年2月5日 月曜日

第十二章 前半 :パワハラって 
 
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特別連載企画
~ クレーム対応のベテラン、椿氏が語る ~

サービス残業にゆだねるな
企業の長時間労働のことが新聞を賑わせている。
たとえばヤマト運輸、セブンイレブンなどのコンビニ、HISなどの旅行代理店。
これに大手広告代理店、電通。いずれも我々庶民には広く知られる企業だが、
メーカーやゼネコンなどのように1件毎の売り上げはさほど大きくはない。
商品にかかる付加的なサービスで利益を得たり、薄利多売の中で儲けを得たりしている。
こうなると、長い時間を要してでも利潤を求め、突き出た金額については加減してもらう。
ということも現実としてある。こうしたサービス産業的な企業は同業社が増え、
単価が落ちている今日、突き出た金額=スタッフの残業代については目をつぶってもらうということもありうる。
残業代を申請しない、あるいは未払いといった報道を耳にすると、業種によって差ができる現実に悲しくなる。
私がホテルで宴会予約の業務に就いていた時、イベント的な物件には必ず電通グループの業者が入っていた。
もともと広告代理店ではあるが、イベントでの創作物、音響PA関係など行なう業務は多岐にわたる。
また、企画書を作成してくれるので、ホテルの現場はそれに合わせて確認すればいい。
会場を提供する我々にはこの電通が入るだけで、業務量、手間が大幅に異なっていた。
当時、どれくらいの金額で請け負っているのか確認したことがある。結構な高額だ。
だが、創作物の費用、人件費、そして何より開催前日の仕込み。
ホテルの前日の物件が終了してからの搬入、設営、リハーサル・・・当然帰れないこともある。
その宿泊代などの経費。それを考えたら決して高いものじゃない。
そのような状況で月間100時間以上残業するのは当たり前と彼らは考えていた。
パワハラ、過労死といった問題が生じることの温床はここにある。

当時、このように仕事をしていた人たちが今日幹部になっていることと思う。
時の流れは、いくらでも遅くまで仕事をしていた過去を美談でも、
よくやったと感心されるわけでもない。
ただ、「労働基準法により1週間40時間の労働時間」
「特例としての残業時間については週15時間、月45時間を上限とする」

当たり前のこととしてこんな通知が回ってくるだけだろう。
「これじゃ業務がまわらない」口には出さないが、これが偽らざる本音ではないか?
私が現在勤務している会社も、あまり残業時間が多いようだと、
支配人にはその月の状況を伝えることがある。
「なるべく調整を図り、規定の時間を超えないよう努力すること」というお知らせなのだが、
どうやら満足に残業もつけさせてもらえない、という状況になっているらしい。
つまり、今月はもう残業の規定時間を超えている(超えそうだから)
調整するように、各施設のトップからお達しが流れるようだ。
当然、業務が多忙なところほどその傾向は強い。

そういった施設では何人かその施設の業務を熟知し、手際よく業務を執り行うスタッフがいる。
彼らはどうしても自分の業務量を基準に考え、周囲のスタッフも同様のレベルに達するよう叱咤激励する。
一方教わる方は自身の業務状況を改めて見直すと、劣っていることを悟る。
え、こんなに自分は売り上げ低いのか、
劣っているのか、このままだとだめだ、怒られるかも、評価悪くなるかもと、懸念する。
いわゆるパワハラと認識され、
被害にあったスタッフが出勤しなくなった施設の支配人に尋ねてみると、
多くは被害者よりも加害者の方を重んじている。
「あのまま野放しにしていたら、みんなの足を引っ張るだけ」といったような言葉が返ってくる。
またこのような被害者タイプのスタッフは総じて残業時間が多い。
同じ業務量であっても、事務処理能力の違い、効率的な動きなど諸事情によって労働時間に影響が出る。
しかし、この能力差というものはキャリア、能力などにより当然生じてくるものだ。
もしこれをフェア、公平にしたいとなれば、労基法に基づき1週間40時間の労働時間を謳い、
残業については、各人の事務処理については認めず、もしくは一律何時間と定めることになるか。
そして本来の残業については支配人が認める共通の作業に限るとしなければならない。
翻って電通のケースを考えてみよう。
おそらく、スタッフの残業の業務内容を上のスタッフは把握していなかったはずだ。
そして、1週間15時間、1ヵ月45時間の問題に直面したら、
「だったらつけなければいい」という発想がどこかにあったかもしれない。
曰く「だって、俺たちそうだったもんな」という思いをちらつかす。
規定に合わないことを指示することはないだろう。
ただ、「俺たちのころは・・・」「何時間も仕事したよな」と口にすることはあるかもしれない。
上司からそんな話を聞けば、そうしなきゃいけないか、と思う。
少なくとも構わず残業をつけるのは控えるだろう。
その意を受けたさらに下のスタッフは「残業つけるなってことだな」と結論付ける。
この発想の伝播はどこの企業でもおなじだ。
時折、ホテルニューオータニの宴会予約時代のメンバーと会う。
懐かしい話ができるから、その時代を共有した仲間だからあまり気兼ねはない。
好きな話をするから自分の自画自賛の話もしてしまう。
ただ、致し方ないことだが、どうしても「あの頃はこれだけの婚礼を担当した」
「こんな物件があった、大変だった」というのは後輩にはあまり面白くない。
「最近の連中は料理の内容もお知らないんだ、ソールムニエルって説明できないんだ」
こういう話って、あまり聞きたくなよね。
「孤独なムニエルってどんな感じかね?」
「何、何言ってんだよ」
ここまでならちょっとはぐらかすぐらい。つい調子に乗ってしまい
「ソウルといえば、なんで韓国の歌なんて、日本で流行るのかな?」
「それって、ソウルミュージックのこと?」
「ああ」
「あれはアメリカ黒人を中心とした音楽。M.ジャクソンとかEWF、知ってんだろ」
「ジャイケル・マクソン・・・よく知ってるよ」
ここまでくると嫌われる。これも自己中心型。
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