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「言葉の階(きざはし)」第十五章:勘違いは残像から


「言葉の階(きざはし)」第十五章:勘違いは残像から
特別連載企画 第十五章 ~ 勘違いは残像から ~

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以前も書いたが、私は思い込みや勘違いをすることが多い。
それらの多くはちょっとした記憶が脳裏にあって、
それが身の回りの出来事に結び付いて「そういうこと」と思い込んでしまうのだ。
2,3年前のことである。川崎の老人ホームで入居者が職員に建物から突き落とされるという事件が続いた。
当時、母に老人ホームを勧めていたので、こうした記事を目にし、耳にすると思わず、顔をしかめてしまう。
そんな折、姉から「ユウリョウ老人ホームで探しているんだけど・・・」と声をかけられた。
「ユウリョウならいいんじゃない」「いいって?」
この時、姉は「有料老人ホーム」を描いていたが、私は事件のあったホームのことが頭にあり、
「優良老人ホーム」という文字が頭に並んでいた。
話はかみ合わなかったが「じゃー、ちょっと探してみる」
姉は会話についてはあまり詮索することはなく、本題に邁進していた。
母がお世話になるホームが決まったとき、「これで時効成立」とばかり、
「ユウリョウ」という言葉をとらえ違えていたことを話した。「何、それ」と姉。誰だって、そう思うよな。
ところで、家で利用する電話が固定電話だった頃、
受ける時でも、かける時でも先入観や勘違いをしていると実感することがあった。
電話に出たとき、自分の父や母に間違われた経験ってないだろうか?
「はい、椿です」
「あ、椿さん」
{違うともいえないので}「そうですが・・・」
「〇〇だけど」と言われ一方的に話される。
明らかに父宛の電話だが、男である自分が受話器を取ったために、父と思い込んでいる。
ちょっとしたきっかけがあれば、「あのー息子ですが・・・」ともいえるが、なかなか口を挟めない。
父と私では年齢差もあるし、父には訛りもある。
間違えるものかな、と不思議に思いつつ、結局私が息子であることを認識するまでに結構話をさせてしまった。
もっと早く気づいてよ、と私は思うが、
電話をかけてきた相手は「本人じゃないのなら、そう言ってくれればいいのに」と思ったことだろう。

こんなことがあったので、自分は間違えるはずはないよな、と思ったものである。
なんで間違えるのかわからない。と根拠のない自負をしていた。
さほど日を経ることもなく、友人の自宅に電話をかけた。一声で本人と確信した。
ところが何かよそよそしい。思わず「どうしたの?」と言いたくなったが、言わないでよかった。
友人の父親だった。やっぱり親子って話す癖が似るよな・・・いいわけである。
電話や会話の中で出てくる言葉というのは、その言葉の内容、実像を理解しないまま、相手と話すことがある。
そういえばこんな件があったな、とちらっと耳にした話で思い込んでしまったり、先走ったりしてしまう。
たまにこうゆう思い込みの強い人間は「オレオレ詐欺」にひっかかるのではないかと思ってしまう。
何しろこういうものだという思い込みを触発されたら、間違いなく信じてしまう。
それほど、感化されやすいものだ。
 
 

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