「言葉の階(きざはし)」第三十章:階 -きざはし-


「言葉の階(きざはし)」第三十章:階 -きざはし-
特別連載企画 第三十章 ~ 階 -きざはし- ~

忘れっぽくなった。
「あ、あれ、あとでネットで調べなきゃ」と思ったことのほとんどは、忘れてしまう。
思いついたことは何かに記さなきゃとメモ帳を携帯しているが、
メモをとる習慣がないから、ほとんど活用していない。
この「言葉の階」と銘打った文章を書き始めて1年近くになる。
ホテルの経験談を書き終えて、自分が思っていること、
経験したことを書き記すことが楽しいものになっていた。

ここコミュニケーションスキル開発協会、鈴木代表に
「あと一年ぐらい、このホームページのブログに文章載せてもらってもいい?」と、尋ねると、
考えるそぶりもなく「どうぞ、どうぞ」という返答。おかげで厚かましく使わせてもらっている。

1200字程度の文字数で書き始めたが、この字数だと、けっこうスムーズに進む。
4,5編書いたところで、鈴木代表から「今回のシリーズのタイトルを考えてください」と言われた。
一つの文章の標題なら、タイトルは出てくるが、全体を通してとなると出てこない。
昔から全体を見渡してとか一貫しているテーマは、と言われるとわからなくなる。
一生懸命に考えると、どうしても、堅いタイトルになってしまう。むしろ風呂につかっていたり、
床についたとき時などに、力が抜けて想いもよらぬアイディアが浮かんでくるものだ。
この時もそうだった。
湯船につかっていたら「これぞピッタリ」という言葉に出会った――ような気がした。
ところが、風呂から出て寒いと思っているうちに、考えていたことがすっかり思考回路から消えた。
すぐに思い出すだろう。少なくとも眠るまでには浮かんでくると思っていた。
ところが全然・・・「アルツハイマーか?」「脳に何かできたか?」と真剣に考えた。
今思えば、閃いたものは、さほどのものでもなかったのかもしれない。
何しろ今だに思い出せないのだから。
「いついつまでにはお伝えするから・・・」と口約束していたその日になった。
もっとも鈴木代表は急かすわけでもなく、腹をさすりながら泰然としていた。

 
その日、鎌倉にいる高校時代の恩師と合う約束をしていた私は、
待ち合わせ場所に直接赴かず、鎌倉駅で下車した。

改札口を抜けて、左側に進む。あたりは小町通に入る鎌倉の老舗が軒を並べるところ。
そこに「鳩サブレ―」で知られる「豊島屋」もある。そういえばいつだったか、
もち米にきなこをまぶしたお菓子が発売されて、結構人気を・・・あった。「きざはし」。
何より言葉の響きがいい。
たしか、地層だか断層を表す言葉だよな、と思いつつ、何も買わずに店を出た。

「コミュニケーション・・・会話の重なりとか」よく意味も解らなかったが、
会話、対話、つながり、言葉・・・そんなものに関わる表現がいいな、とタイトルを考えていた。

先日、ようやくこの「きざはし」を購入した。しっかりとした箱に入っている、高級な代物。

その箱に「きざはし」命名のいわれが記されている。
すり減った鎌倉石の石段に歴史の古さの陰影をより濃く感じさせられます。
「きざはし」は、」この姿を菓子に託し・・・
うまい。和三盆糖が、効いているんだろうな。それにしても、物忘れが多くなって、吉と出たな。

コメントをどうぞ

Spam Protection by WP-SpamFree

▲ページの先頭へ戻る