「言葉の階(きざはし)」第十四章:残り醤油

2018年8月23日 木曜日

「言葉の階(きざはし)」第十四章:残り醤油
 特別連載企画 第十四章 ~ 残り醤油 
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学生時代の友人と月に一度、盃を酌み交わす。
以前はしっかり酔ったなと認識するまで飲んだが、最近は嗜む程度で十分だ、
もっとも病気のせいで、酔っても酔わなくても身体は硬直してしまい、動作がコマ送りのようになる。
「大丈夫ですか?」と店員さんから心配されることもしばしばだ。
ところで、飲みに行くとバカの一つ覚えみたいに、「刺身」を注文してしまう。
私はあまり醤油をつけないのだが、小皿に注がれた醤油が気になってしまう。
要は食し終わったとき、きれいに使い切ってればいいのだが、これが駄目である。
「大根をいっぱい食べればいいだろう」と言われるが、あくまで自然に食べることにこだわる。
そして食べ終わったら醤油もきれいになっていた、というものでないとしっくりこない。
こんなことが気になるなんて、よほど神経質、潔癖症かと思うが、少し違うようだ。
いつからこんな性分が身についたのか、と思うが、親は事細かく、注意するようなことはなかった。
ただ、小皿に醤油を注ぐとき、少な目にしているのは祖母の影響だろう。
祖母は、しかし小皿の醤油が残り僅かになっても、改めて付け足すことはしなかった。
それで寿司や刺身をおいしく食したかはわからない。
ちなみに私も、寿司があと数カン残っているのに、
小皿には「かつてあった」という感じで醤油の跡が残るだけになってしまったことがある。
都内のいい寿司屋だとわさびもうっすらと上品についていることもあるが、
家の近くの寿司屋だと「こりゃ毒消しか」と思うほど、しっかりついていることも多い。
口に入れ、舌にのせたとたんに蒸気機関車のようになってしまった。
私の家の人間は総じて、この醤油の使い方がきれいだった。
食事が終わる頃、小皿の方も綺麗になっていた。
だから比べられるのも嫌で、静かに洗い場にもって行ったり、他の器にまとめたりしていた。

事、醤油に限らず、私はちょっとしたことに気になることが多いのに、その先どうするかということに頭が働かない。
自分の部屋に入れるものを購入した。たとえばハンガーラックを購入したはいいが、吊るすところがない。
予備のパジャマを買ったが押入れはいっぱいだ。必要なのに、今どこに置いておくか考えていない。
整理すればなんとかなるだろうに、億劫だ、面倒くさいと思ってしまう。
まだ、こういった残せるものならいいが、食品のようなものも同じ思考回路に繋がるから駄目だ。
小腹すいたとき、ちょっと口潤したいとき・・・
そんなときのためと食料品を買い求めるが、うまくフィットすることは・・・まずない。
いつまでも残っていたり、なんでこんなもん買ったんだ、と思うのが常だ。

モノを買い求める加減がわからないように、小皿に注ぐ醤油の加減がなかなか合わない。

「言葉の階(きざはし)」第十三章:コバエがやってきた

2018年8月15日 水曜日

「言葉の階(きざはし)」第十三章:コバエがやってきた

特別連載企画 第十三章 ~ コバエがやってきた
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梅雨時は湿気が多いから、食物の扱いに気を付けなければならない。
この間は大丈夫だったからと、封を開けたものをそのままにしておくと、臭いを発したり、黒ずんできたりする。
それに合わせるがごとくコバエがやたら目に付く。
コバエが活動の中心にしているのは、やはり台所、キッチンだ。
私はといえば、その日の食べ物の廃棄分を三角コーナーのごみ袋に集める。
すると、翌朝その周辺はコバエが数匹飛んでいる。
コバエを駆除するには、殺虫剤を噴霧すればいいと思うが、ドラッグストアーで用意されているのは、
ゴキブリホイホイのような呼び込み式のものだ。水に浸したスポンジをケースに入れるだけのものだが、
最初に使用したとき、結構捕獲したので、「こりゃいい」と愛用者になった。
ところが、以降成果は上がらない。相手も知恵をつけたんじゃないかと思ってしまう。
今日の成果はいかばかりか、と確認しても全然入っていない。その現実のせいか、
それにしても厚かましい。と必要以上に思ってしまう。先日もビール傍らに食事を摂っていたら、
なんとこのビールグラスになじんでいる。挙句の果てに滑ったのか(だったら飛べよ)、
なんと注いであるビールに浴しているではないか。まるで「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉のおやじのような雰囲気だ。
しかも間違いなく大きくなっている。
ハエや蚊を好んで食する鳥がいるように、このコバエを餌にしている生き物がいるのだろう。
生き物の生態系はそんな仕組みの中でなりたっている。
が、どんな生き物が食するのかわからないから、なんとなく不安だ。
気が付くとゴキブリや蚊、蜘蛛の類が室内にいることもよくあることだ。以前からいたのかもしれないが、
食べるものがいるから、住みついているのは事実だ。これはコバエがいるせいかなんて思ったりする。
たまにゴキブリが出てくると、ネズミが好物にしているので、ビクビクしながら暮らすことになる。
ところで、コバエであるが、耳元で飛行している時など、本当に煩わしい。
「え、蚊じゃないか・・・」と思うほど、人のそばを平気で飛び回る。
我々が食物に対して、これは食べたくないからと無駄にしたり、
賞味期限切れだからと廃棄したりといった行動の影響もあるのだろう。
こういった虫が増えていることを認識する。それだけではない。
ペットの廃棄、ごみ回収日の遵守など、さまざまな要因で、生態系、食物連鎖は乱れる。
「枕草子」内「にくきもの」の段に

眠たしと思ひて臥したるに、蚊の細声に わびし気に名のりて顔のほど飛びありく。
羽声さへその身のほどにあるこそ、いとにくけれ
とある。「憎い」と表しながら、どこか季節の流れを感じさせる。
そういえば、昔は涼しさが訪れると、除虫香をたかなかったと聞く。
確かに蚊取り線香を目にすると、殺生するというより、虫を避けるという気がする。
昔は除虫香と呼んでいたものが殺虫剤と呼ばれるようになったが、今日のイメージとは少し違う感じだ。
とはいっても、私の部屋にも殺虫剤がしっかりある。

「言葉の階(きざはし)」第十二章:スポーツ界のいやな雰囲気2

2018年8月9日 木曜日

「言葉の階(きざはし)」第十二章:スポーツ界のいやな雰囲気2

特別連載企画 第十二回

~ スポーツ界のいやな雰囲気 2

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私はスポーツでも勝負に執着している姿を見ると、ある種の畏怖を感じる人間である。
遊びでやっているうちはいい。さほど強くないクラブで身体を鍛える程度ならいい。
しかし、期待が高まれば勝敗にこだわるようになる。
さらに、それが学生対抗となり、県対抗となると様相は変わる。
ましてや国際対抗となると、国の威信などという言葉がちらつく。
オリンピックは金メダルをとれば歓喜がわき、勝者を讃えるが、他国を排斥するある種のナショナリズムを感じる。
そして期待していた選手が芳しい成績を残さないと、非難の目にさらされる。
これは国ならずとも自分が住んでいる都道府県、通っている学校、その地区ということで、その傾向は顕著になる。
たとえば、夏の高校野球。
各都道府県から予選を勝ち抜いた高校が出てくるものだから、否が応でも郷土愛に火が付く。
それが高じるとミスをした選手への誹謗中傷となり、選手を追い込んでいくこともある。
あの簑島―星稜の延長18回のゲーム。今でも甲子園史上最高の試合といわれる1979年の一戦。
しかしその評価とは別にリードを奪い、あと一人というところで
ファウルボールをキャッチできなかった星稜高校の一塁手は、帰郷ののちしばらく外に出なかったという。
それほど世間の目は怖い。
また、星稜 松井選手をすべての打席、敬遠した明徳義塾に対し、あの時マスコミはこぞって叩いた。
指示した馬淵監督はもう辞めるだろうと思ったが、続行。今日では「高知高校球界の名監督」と評価されている。
一方、敬遠した投手はその後東都大学連盟に加盟する大学に進学。
ただし投手ではなく、外野手として登録されていた。あのとき、監督は「勝ってなんぼのもの」と勝利を優先した。
勝利を手にし、甲子園での勝ち星から名将と言われるが、敬遠した投手の想いはいかばかりのものか?
学生スポーツの判断は難しい。今回、日大アメフト部もごく普通のこととして、判断を下し、実行させた。
そしてこんな騒ぎになるなんて、思ってもいなかった。
恐ろしいことだが、この程度のことなら、過去にも結構あったという認識だ。
さて、自分が根をつめていることは、往々にして「事」が見えてこないものかもしれない。
日本は戦時中、日華事変から太平洋戦争に突入した折、
さまざまなメディアを通して、国威高揚を国民に植え付けようとした。戦争映画を作り、絶え間なく上映。
スクリーンに映し出されるニュースまで「欲しがりません、勝つまでは」と訴える。
お芝居も軍事色に包まれる。情報として流れてくるもの、文化として伝わってくるもの。
スクリーン、ステージ含め、目に触れるものは国家もよって、軍治一色に統一されていく。
さて、スポーツはいかなる道を歩んでいたのか?
外来語、たとえばストライク、ボールは「よし」「はずれ」と日本語に変えられる。
海外のものは駄目、すべて日本語、日本のもの。日本を世の中の中心に据える八紘一宇の世界観。
そのような中で、スポーツの指導、教育はしごきへと連鎖し、
できない人間に対して暴言、いや暴力、力に訴えるようになる。
今回、日大アメフト部で加害者の部員に対して行った一連の行動、言動はまさに昔から続く、
「疎外感」と「悪魔の誘い」に他ならない。知らず知らずのうちに洗脳され、善悪の判断はつかなくなる。
このような対応、指導が蔓延し、相手を憎い対象、忌むべき存在と思わせることは難しいことではない。
「スポーツの日大」というらしい。たしかにこれだけの資金があれば、いい選手も集まるだろう。
監督とコーチの記者会見があった翌日から「関東インカレ」いわゆる関東学生陸上選手権が始まった。
日大の選手はどうか?{我ながら嫌な性格}と、チェックした。しっかり勝っていた、アフリカからの留学生が。

「言葉の階(きざはし)」第十一章:スポーツ界のいやな雰囲気

2018年8月7日 火曜日

「言葉の階(きざはし)」第十一章:スポーツ界のいやな雰囲気
特別連載企画 第十一回 ~ スポーツ界のいやな雰囲気 
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昨年末から、日本のスポーツ界でいろいろな不祥事が発生している。
その多くが競技団体、チームなどによるパワハラときているからたちが悪い。
まずは大相撲。現役のモンゴル出身の横綱が地方巡業の折、
他の部屋に所属しているやはりモンゴル出身の力士たちと宴席を実施。その席で暴行に及ぶ。
理由は・・・「態度が悪い」後日、横綱は角界を退く。

次に騒がれたのがレスリング協会。オリンピック金メダルを獲得した女子選手が、
練習の場を広げたいと、強化部長に申し出る。
が自分の指導では満足できず、広く練習を求める選手に会場すべて取り上げる。
さらにバトミントンで、辣腕のコーチが選手への賞金を着服。所属企業から契約解除。
オリンピック候補の女子ペアが所属企業を離れ、このコーチについていくと表明。
そして今度は学生スポーツ。しかも日大アメリカンフットボウルによる違法タックルだ。
ここで、日大は「危機管理」の処理に関し、見事なまでに誤った対応をした。
事の起こりは関西学院大学との春のオープン戦において、相手QBを個人的に狙った反則タックル。
大学アメフト界は関西の関学、京大に関東の名門 日大が挑むという図式。
その2校が春に試合をする。両チームにとっては今シーズンを占う定期戦だ。
この試合で日大のディフェンダーが関学QBに対して、怪我を負わせるかのように反則を繰り返した。
なぜ?・・・監督、コーチの指示という噂がまことしやかに流れてくる。
同時にその時のプレーがネット上に流れるようになった。正直大したことでもないだろうと思っていた。
速やかにお詫び、見舞いをし、原因を明確にして、二度とこのようなことを起こさないことを伝えればいい。
ところが動きがない。やがてテレビのワイドショー的番組はこぞって特集を組み始めた。
おなじみの芸能人が本気になって苦言をまくしたてる。
聞けば被害に遭った選手は医療機関に通うようになり、加害者側は何ら行動を起こしていない。
関学は文書で日大に問いただしている。これが事件後2週間経過した状況だ。
本当かよ?2週間たってもお見舞、お詫びに行ってないって・・・どういう神経しているんだ。
そうこう言っているうちに加害者の選手が記者会見を行った。
お詫びの意をはっきり表し、どうしてこのようなことが起きたか明確に話す。二十歳の若者に教えられた会見だった。
今回のプレーは監督、コーチの指示である。
このところろくに実践的な練習をさせてもらえず、精神的に追いこまれていた。

あのQBに負傷を負わせるのなら、試合に出させてやる
見舞いに行くことを申し出たが、拒否された。
以上、普通の感覚では信じられない監督、コーチの判断である。この記者会見に同席しないのも当然だ。
日大の監督は囲み取材でも「カンセイガクイン」を「カンサイガクイン」と言い続け、
それを周囲の誰も訂正しない。おそらくこんな問題、時間がたてば収まる。
と高をくくっているというのが明らかだ。

「どこの大学だって・・・」「すぐに騒ぎもおさまるだろう」そんな想いもあったろう。
しかし、これだけ画像が露出する時代、ニュースが誰の耳にも入ってくる時代、そんなに甘いもんじゃなかった。

「言葉の階(きざはし)」第十章:BSニュース

2018年8月3日 金曜日

「言葉の階(きざはし)」第十章:BSニュース

特別連載企画 第十回  ~ BSニュース 
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日本ハムファイターズの大谷翔平選手が今年、大リーグ ロサンゼルスエンジェルスに移籍した。
テレビにあまり映らなかったせいか、さほどすごい選手とは思っていなかった。
160キロを超える日本人最速のストレート。打っても類まれな長距離ヒッター。
それを知りつつも一流選手と思わないのは、勝ち星、防御率、沢村賞、
ホームラン王などの記録やタイトルとは無縁だったということがあるのかもしれない。
どこかで記録の持ち主を思う以上に評価しているのだろう。だから私は大リーグでの活躍にはクエスチョンマークだった。
今シーズン、大リーグの試合に興味がある。観るようになった。という人が結構いると思う。
何といっても、NHK衛星放送BS1は誰よりこの大谷出場予定の試合中継を流す。
おかげで、エンジェルスの打順はなんとなく覚えてしまい、必然的に応援するようになる。
マー君、ダルビッシュ、前田と日本人選手で活躍している選手がいるにも関わらず、だ。
簡単に大谷選手のことを説明しよう。岩手県花巻東高校出身23歳。当時からエースで4番だが、抜きん出た能力を秘めていた。
甲子園では同期の藤浪{阪神}ほど成績を残したわけではないが、ドラフト1位で日本ハム入団。
本人の希望を受け入れた栗山監督の下、投手兼打者を実践。
プロ野球入団時より大リーグ志向が強く、本年度より二刀流選手のままエンジェルスに移籍。193cm 97㎏。
野茂、イチロー、松井、松坂といった選手たちが大リーグで活躍。
日本人選手でも大リーグで実績を残す、いやトッププレーヤーとしてチームを引っ張る存在になれることを示した。
大谷にはそのような実績はなく保証もない。
だが、二日前、投手としてマウンドに立っていたのに今日は5番打者としてバッターボックスにいるという、
まさに夢のような話を実践しているのだ。「大リーグでリトルリーグみたいなことが行われている。」
これは、日本人選手が大リーグで活躍する云々の話ではない。
大リーグのプレースタイルそのものを変えかねない。おかげで、エンジェルスは観客増、グッズの売り上げも右肩上がり。
テレビで流れている野球中継は現地のLIVE映像を流し、それを日本で見ている解説者、実況が声をはさんでいく。
小早川、石井一久、武田・・・比較的地味な解説者がなかなかいい。説明がわかりやすく、肩の力がない。
ところで大リーガーは一般的に、日本と比べると、選手の打率はさほど高くない。
だが、ここでストライクをとれなかったことで、ストライクを投げざるをえなかった。
コースを間違えてしまい、次投げるところが難しい。そして・・・これらが影響して一発を浴びる。
そんな恐ろしさがある。バッターをしとめるには一連の投球がすべて連動している。その流れが大切なことがわかる。
打率は低くても、長打率の高さ、得点圏に走者がいる時の被安打率などやはり緊迫する。
単に打率だけでは計り知れない怖さがある。

ところで、この野球中継でもNHKは容赦なく1時間に1回ニュースを挟む。
海外の映像だし、衛星放送だからなんとなく海外のニュースが流れてくるような気がするが、
もっぱら日本の話題である。「上野動物園のパンダ・・・」なんて流れてくると、思わず拍子抜け。
「次のニュースが重いんだな」と勝手に想像していると、「BSニュースでした」で終わってしまう。
NHKは模範的な国営放送というべきか。
どうも番組の途中でニュースが流れてくると、
何かとんでもない事故が起きたかと思ってしまうが、単純に私の思い過ごしのようだ。
ニュースはその番組として枠がないと落ち着かない。
どこかアナログ的だな、それにしてもニュース以上にニュースな出来事を中継で見られる時代になっている。
 
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