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「言葉の階(きざはし)」第三十四章:ガス橋まで

2020年4月7日 火曜日

「言葉の階(きざはし)」第三十四章:ガス橋まで

特別連載企画 第三十四章 ~ ガス橋まで ~

 

幼稚園に通っていた頃、身体を使う運動をするとき、
園のスタッフの方々はゲームのような要素を取り入れていたようだ。
たとえば、「ハンカチ落とし」。たとえば「だるまさんが転んだ」。
園児たちが元気に身体を動かすことに興味がわくように、幼児教育に取り組んでいたのだろう。
 ところが、私はある種意図をもって行われる運動で、どうにも苦手なものがあった。
「椅子取りゲーム」。これが駄目だった。

幼い頃から近所の年上のにいちゃんたちと遊んでいたから、体力はあった。
必然的に運動神経も人並み以上のものはあった。
脚力、反射神経も悪くなかった。が、極端に人目を気にする子供だった。
妙にすましていたこともあり、我関せずといった雰囲気を漂わす感じで、
かわいらしさを振りまく子供ではないことはたしかだった。

 なぜ駄目だったかというと、椅子を確保しようとして、
仕損じてしまったとき、その一部始終をみんなに見られてしまった。
という意識をなぜか感じてしまうのだ。
そんなこと、たまたま目に入ることはあっても、目を凝らして見ている人なんているわけもないだろう。
なのに「人前で恥ずかしい想いをした」
「みっともない姿をさらした」そんな想いが自分の気持ちの中で、強く残るのだった。

(さらに…)

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